ブラジル出張レポート①
2017年8月に弊社代表の糸井とスタッフの浅田、永田がブラジル出張に行って参りました。
永田は途中からの参加となりましたので、中盤からのレポートですがご報告します。
日本からブラジルへ
8月6日にブラジルのサルバドール空港に到着しました。
日本からブラジルまでは様々な行き方がありますが、成田空港からアメリカのシカゴまでが約12時間、シカゴからブラジルのサンパウロまでが約10時間、そしてサンパウロからサルバドールまでが約4時間です。乗り継ぎの待ち時間を含めると現地到着までに30時間以上かかることになります。さすが地球のほぼ反対側と言われるだけあります。時差も12時間あります。
ブラジルのコーヒーと概要
ブラジルは言わずと知れたコーヒーの国です。1700年代後半に始まったブラジルのコーヒー産業が発展して、今では世界のコーヒー生産量の約3割を占めています。また消費量もアメリカに次いで世界第二位になっています。
ブラジルの主要産業はコーヒーや砂糖、オレンジなどの農業や牧畜、鉱業、製造業です。やはり広大な土地(日本の22.5倍)を活かした農牧業が国の主要産業となっています。人口は約2億784万、名目GDPは9位(対象190カ国)であり、カナダや韓国、オーストラリアを抜いています。
バイーア州へ
今回訪れたのはバイーア州です。ブラジルの北東部の州ですが、面積は日本の国土よりはるかに広いです。ブラジルのコーヒー産業は昔は南部のパラナ州やサンパウロ州がメインでしたが近年ではミナスジェライス州、エスピリトサント州、バイーア州など徐々に北上しています。
またバイーア州は高品質のスペシャルティコーヒーの地として有名です。2016年のカップオブエクセレンス アーリーハーヴェストではなんと上位10位が全てバイーア州のコーヒーでした。
今回アテンドしていただいたのはカップオブエクセレンスのヘッドジャッジとしても有名なシルビオ・レイテ氏です。
シルビオさんにアテンドしていただき、翌日の8月7日に目的地であるチャパダ ジアマンチーナ(Chapada de Diamantina)を目指します。『ダイアモンドの台地』を意味するこの地域は国立公園に指定されています。テーブルマウンテンが林立するこの地は”パワースポット”として有名だそうです。
州都のサルバソールから車で内陸側へ7時間走り続けます。途中の風景は様々と変化していきました。
ファゼンダ・プログレッソ
今回最初に訪れた農園はファゼンダ・プログレッソ(Fazenda Progresso)です。
ファゼンダとはポルトガル語で『農場』という意味ですが、歴史的にはコーヒー大農園とその周辺の私有地を意味するようです。
その「ファゼンダ」という意味に相応しく、プログレッソは広大でした。プログレッソは国内のジャガイモの生産量トップレベルの農園であり、敷地には農園設備はもちろんのこと、広い庭とともに大きな家やゲストハウスが建てられていました。2005年と比較的最近始められたコーヒー栽培も広大な土地を利用しており、将来的には100ヘクタールのコーヒー農園で6万袋の生産を目指しているそうです。さらに新しくワイナリーを計画中で、今は実験的に数多くの品種を栽培しているそうです。
プログレッソはボーレ一族により営まれています。今回はファビアーノさんに農園内をアテンドしていただきました。
ゲストハウスに荷物を置き、昼食をご馳走になりました。
専属のお手伝いさんがお食事をご用意してくださいます。
農園へ
昼食後は農園を見に行きました。
今回は5区画のうち2区画を見て回りました。
「Progresso 1」「Fazenda Floresta」と名付けられた区画です。
ここの土地は平原になっており、どちらも標高は1,150mです。
Progresso 1は120ヘクタール、Fazenda Florestaは180ヘクタールもあります。
収穫期は6月頃に始まり10月頃まで続きます。
今は収穫期ですので農園にはピッカーさんたちが働いていました。
この時期は町から若者たちが出稼ぎに来るそうです。
肥料の与え方や収穫方法、シェードツリーの間隔など農園のマネジメントなどを聞きました。
灌漑設備はピボットと呼ばれる100メートル以上の細長い可動式のスプリンクラーを使用していました。コーヒーの木が平原に等間隔で一直線に植えられていてるので、このような機械が使用できるのです。
農園を見て回った後は自宅へ戻り、ファビアーノさんのご家族と夕飯をいただきました。
ブラジル名物のバーベキュー
とても美味しいお料理です。前菜からスイーツまで、ご馳走になりました。
夜はホテルのようなゲストハウスの一室で一泊しました。
カッピング
翌8月8日は朝食をいただいてから、カッピングをしました。
プログレッソは2016年のCoEでナチュラルのコーヒーが16位入賞、2017年にはパルプドナチュラルのコーヒーがナショナルウィナーに選ばれています。
ここのコーヒーは素晴らしい明るい酸味が印象的でした。またシルビオさんは、ここの高品質のコーヒーにはライムやパイナップル、オレンジピールのフレーバーがでると仰っていましたが、そのような明るいフルーツを感じさせる素晴らしいコーヒーが数多くありました。
2ラウンドで合計16カップ(16種類)をしました。
ラウンドの間に乾燥場とミルを見学しました。
乾燥場
乾燥場はビニールハウス型ですが、側面が開閉式になっており、日中の温度の管理もしやすく工夫されています。
内部は4段の乾燥棚が左右に2列ずつ並んでいて、真ん中はパティオになっていました。
写真でも分かる通り、完熟のチェリーのみが薄く丁寧に乾燥されていました。
4段の乾燥棚には、一段ずつ温湿計がついており、管理の徹底ぶりが伝わってきます。
パティオに広げられたコーヒーと乾燥棚の格段はそれぞれロットナンバーや乾燥日時などが記載されて管理されていました。
乾燥途中のパーチメントコーヒーは上の写真のように丁寧にハンドピックがされ、割れたパーチメントや外皮がついたままのパーチメントなど、乾燥ムラになる豆を取り除きます。この工程も最終的な品質に大きく影響する工程です。
ミルへ
その後はミルを見に行きました。簡単にご紹介します。
ここでは毎朝しっかりと機械類の清掃をしているそうで、大規模な設備ですが驚くほど清潔に保たれていました。
サイロ
サイロも大型で容量は4万キロ。64の区画に別れており、ロット毎に管理することが可能。最低一ヶ月間はサイロで保管してパーチメントコーヒーの水分値などを一定にするなど、コーヒーを寝かせます。
ファゼンダ プログレッソは細か所にも気を使って管理されていたのが非常に印象的でした。それはボーレ一族の人柄からも強く伝わってきました。コーヒー産業に進出してからまだ12年ではありますが、非常に高品質なコーヒーを作り上げることが可能なのも、熱心に栽培や生産管理をしているからなのだと思います。
次のレポートではカップオブエクセレンスに数多く入賞しているピアタ(市)をご紹介します。